減点主義ではなく加点主義で評価
それとプロセスを評価
以下、岩井俊憲氏の「人間関係が楽になるアドラーの教え」からの引用です。
・加点主義で人と関わる三大要素
私たちが他者を評価をするときには、「加点主義」と「減点主義」といつ二つの方向性があります。
加点主義は、「0からどれだけ積み上がっていくか」という発想で相手を見ます。
一方減点主義は、「理想の100点満点からどれだけ点数が減らされるか」という視点で相手を見ます。
人間関係がうまくいかない理由の一つが減点主義にあります。
一方的に理想のラインを相手に押し付け、それに反する行為を減点していく。
「声が高いのが嫌」
「ご飯をごちそうしてくれないのが嫌」
「メールの返信が遅いのが嫌」
...という具合に減点していくと、あっという間に相手に対する苦手意識が根付いてしまいます。
人と上手に付き合うには、加点主義の発想が不可欠です。
加点主義になるためには、次の三つの要素が基本となります。
①共感を持つ
共感とは、相手の目で見、相手の耳で聞き、相手の心で感じることです。
たとえば、私の子どもがまだ幼なかったころ、公園に連れて行ったことがありました。
そのときには、一つ自分の中にルールを決めてみました。
「この場では、あれこれ口にだすのはやめて、子どもの目で見て、子どもの耳で聞き、子どもの心で感じよう」
子どもは非常に移り気です。
さっきまで蝶々を追っていたと思うと、次の瞬間には、積み重なった落ち葉を布団にして大の字に寝転がります。
大人の視点から、「そんな、ちょろちょろするんじゃないよ!」「汚れるから寝転がってはダメじゃないか!」というのをやめて、私は子どもの感性にあわせました。
子どもの横に寝転がった私は聞きました。
「今、何をしてるの?」
「僕は葉っぱのじゅうたんに寝てるの」
なるほど、と思いました。
そう思って、空を見上げると、風に流れる雲が上から下へと通り過ぎていきます。
まるで、じゅうたんに乗って空を飛んでいるような、なんともいえない浮遊感です。
私は子どもに共感したことで、子どもの感性に感動したのです。
②未来志向をもつ
相手に一方的な理想を押し付けるから、「できていないこと」が許せなくなります。
「みんなできているのに、なぜできないか」
「こんな簡単な」こともできないのか」
これでは、未来に向かって進むこともままなりません。
人は1人ひとり目標を持って生きています。そして、職場などでは共通する目標持って仕事をしています。
今を出発点として未来の共通目標に目を向けていると、相手の「できたこと」を認めて評価できるようになります。
どこまで行っているか、ペースは速すぎないか、遅すぎないか...。
相手と同じペースで進めながら、一緒にゴールを目指すのが加点主義的な人間関係のあり方です。
相手と一緒にフルマラソンのゴールを目指すそうなイメージでしょう。
③プロセスを重視する
結果ではなくプロセスを重視すると、積み上げた一つ一つの実績を認められるようになります。
「ここまでできた」
「ここまで頑張っている」
「よくやった」
と。声をかけ続けていると、相手と共に学び、共に楽しむ共生関係が育ってきます。
アドラーは「個人はただ社会的な、人間関係的な文脈においてだけ個人をなる」と言いました。
個人は孤立して存在しているではなくて、仲間と共にあるということです。
つまり、加点主義はアドラーが重んじた「仲間」という意識を持つことにつながっているのです。
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